「税務のマメ知識」

税金は国会等で決められます。増税、減税その季節になると色々報道機関等で話題になります。税金が私達の生活や経済活動の中でどのように影響が有るのか、わかりやすくお伝えしたいと思います。

【確定申告を忘れるとどうなるの?】《平成30年9月掲載》

 個人の確定申告は、前年分を翌年2月16日から3月15日までに申告します。では確定申告を忘れて、この期間内に申告をしなかった場合はどうなるのでしょうか? 期間内の申告忘れには「還付申告」と「期限後申告」の2つがあります。サラリーマンのように会社が年末調整を行い、医療費控除などのように年末調整の処理ができない税金を還付してもらう「還付申告」であれば、5年さかのぼって申告ができます。

一方、個人事業主が確定申告を忘れたといったケースは「期限後申告」になります。この場合は本来納めなければならない税金の他に無申告加算税や延滞税がかかります。無申告加算税は原則として納付すべき税の15%(一定以上は20%)が課されます。なお、自主的に期限後申告をした場合は、無申告加算税が5%に軽減されます。また何かの手違いなどで申告を忘れていたような場合には、無申告加算税が課されないこともあります。そのためには、期限後1ヵ月以内に自主的に申告が行われていること。納付すべき税金を法定納期限までに納付(口座振替の場合は期限後申告を提出した日まで)していること。過去5年以内に無申告加算税や重加算税を課されていないこと。さらに過去5年以内に無申告加算税が免除になるこの制度を使っていないこと。などの要件を満す必要があります。        

【「印紙税」で紙の通帳がなくなる?】《平成30年8月掲載》

印紙税は経済取引に際して作成される文書に課される税です。課税されるものには色々あります。所得税や法人税のように生み出される所得に課税されるもの、贈与税や相続税のように財産に対して課税されるもの、消費税や酒税のように消費などに対して課税されるものなどがあります。平成28年度の国の税収は約55兆円でした。そのうち印紙収入は約1兆円で1.8%を占めています。印紙税は私たちが持っている通帳においても課税されています。金融業界は近年の低金利によって収益が悪化しているため、一層の経費削減を目指さなければなりません。そのため年間約700億円かかる印紙税を、ペーパーレス化することによって削減するという動きがあるようです。銀行などにとって、ITと金融サービスを融合したフィンテックの発展によりペーパーレス化などがすすむことは、印紙税や発行コストなどの削減と事務作業の軽減といったメリットがあります。一方、利用者は通帳を持ち歩く必要がなくなったり、スマホなどから入出金情報をリアルタイムで確認することができるといったメリットがあります。しかし、将来は紙の通帳の発行を希望すると手数料が発生することになるかもしれません。今後、ITやAIなどの発展によりさまざまなことが変化し、それに伴い税制も変化していくことになるでしょう。    

【イートインは10%でテイクアウトは8%】《平成30年7月掲載》

 来年の平成31年10月1日に消費税率は10%に引き上げられます。引き上げの際には、特定の品目だけを8%に据え置く軽減税率制度も実施されます。気になるその「特定の品目」ですが、酒類・外食を除く飲食料品と週2回以上発刊される新聞(定期購読契約に基づくもの)が対象になります。例えば夕食用にスーパーマーケットで購入する肉や野菜、牛乳やパンなどは軽減税率の対象になります。一方、レストランやハンバーガーショップなどのお店で飲食をした場合は、軽減税率は適用されません。ただし、そこでテイクアウトしたハンバーガーなどは軽減税率が適用されます。また宅配ピザで注文したピザなどは軽減税率が適用されますが、ケータリングを利用した場合は適用されません。このように対象品目の線引きがさまざまなので購入者も混乱しそうですが、売る側のお店はそれ以上に混乱しそうです。取り扱う商品などによっては、複数の税率を使い分けなければいけないケースも出てくることでしょう。またそれによりレジや受発注システムを、新たに導入しなければいけなくなるかもしれません。このような対応が必要になる中小企業や小規模事業者等には、その経費の一部を補助する「軽減税率対策補助金」という制度があります。まだ1年以上ありますが、今から準備を進めていきましょう。         

【酒税法の改正でビールが変わる!?】《平成30年6月掲載》

  昔の酒造税は、例外期間を除くと1899年から30年以上にもわたり税収第1位でした。また国税収入の約40%を占めたこともあります。酒造税は1953年から現行の酒税になり、近年は国税収入全体の約2%へと減少しています。その酒税の改正が平成30年4月1日にありました。これまでは似かよう酒類間の税率に格差があり、これが商品開発や販売数量に影響していました。そこで酒類間の税負担の公平性を回復するなどの目的から改革がはじまったのです。改正の内容は、ビール系飲料が10年をかけて、また日本酒などの醸造酒類は5年をかけて税率が統一されます。品目でみるとビールは減税、発泡酒や第三のビールは増税、日本酒は減税、チューハイやワインは増税となります。またビールの定義も改正されました。麦芽比率67%以上が50%以上に、使える副原料が麦・米・とうもろこし等だったものに、果実や一定の香味料(麦芽の5%以内)が追加されました。これまで麦芽比率でビールの基準を満たしていても、副原料にハーブなどを使うクラフトビールの表示は「発泡酒」でした(税率はビールと同じ)。しかし、今回の改正で多くのクラフトビールが酒税法上「ビール」と表示できるようになりました。これにより今後は商品開発が加速して、個性を売りにするビールが増えるかもしれません。     

【いつ?どのような流れで決まるの?】《平成30年5月掲載》

毎年変わる税制は8~9月頃に、各省庁や経済団体から税制改正に対する要望などが出されます。次に税制調査会がこれらをとりまとめます。そして、小委員会や総会で議論がされて、12月に税制改正の原案である「税制改正の大綱(たいこう)」が出来上がります。その後、閣議決定がされ、翌年1月の通常国会で法案が提出されます。そして国会で審議が行われて3月末までに改正法が成立するというのが一般的な流れです。

例えば平成28年度の改正法案は、提出が平成28年2月5日、成立3月29日、公布3月31日。平成27年度においては、提出が平成27年2月17日、成立と公布が3月31日といずれも公布直前の成立でした。4月1日に施行される法律は多くありますが、過去には施行日に成立が間に合わなかったという年もあります。この時は、さかのぼって法律が適用されました。また予定通りに成立し公布された場合でも、さかのぼって適用される法律も少なくありません。例えば平成28年3月31日に公布された「給与所得者に支給する通勤手当の非課税限度額の引き上げ」があります。通勤手当の非課税限度額は、それまで最高10万円でしたが15万円に引き上げられました。この最高限度額は公布日をさかのぼり、平成28年1月1日以後に支払われるべき通勤手当から適用されています。

【高い所ほど高くなる税に】《平成30年4月掲載》

新聞などでも取り上げられたことのある「タワーマンションの固定資産税見直し」というお話はご存知でしょうか。これは、一般的に高層マンションの上層階の部屋が低層階よりも取引価格が高いのに、上層階でも低層階でも固定資産税が同じ(床面積などが同じ場合)というのは「公平な税負担」とは言えないので見直そうというお話です。まずは、よく耳にする「タワーマンション」という用語についてですが、この用語には階数や法的な基準などの定義はありません。「タワーマンション」とは通称で、一般的に「高さ60m以上、階数でおよそ20階建て以上の住居用建築物」に使われているようです。今回の見直しでは、平成30年度から新たに課税されることとなる高さ60mを超える建築物(建築基準法上の超高層建築物)で、複数の階に住戸が所在している建築物が対象になります。なお、平成29年4月1日前に売買契約が締結された住戸を含む建築物は対象外になります。課税額は、階が1つ上がるごとに約0.26%ずつ税額が増えます。例えば1階を100とすると、40階の部屋ならば1階に比べて約10%高くなります。また階数だけでなく、天井の高さや付帯設備が他の部屋と著しい差がある場合には、その差に応じた補正が行われます。なお、都市計画税や不動産取得税についても同様に見直しが行われています。

【「仮想通貨」で得た利益は課税対象?】《平成30年3月掲載》

「仮想通貨元年」と呼ばれた2017年は、ビットコインなどの仮想通貨を物品やサービスへの支払い手段として認める法律が国内で初めて施行されました。昨年はこの仮想通貨の急激な値上がりにより、多額の利益を手にした人もいるようです。仮想通貨による損益は原則として雑所得になり所得税の課税対象となります。給与所得者で、給与所得や退職所得以外の所得が20万円以下であるならば確定申告をする必要はありませんが、2カ所以上から給与を得ており確定申告が必要な人や個人事業主などは、20万円以下であっても申告が必要になります。雑所得は雑所得以外の他の所得と損益通算ができません。そのため仮想通貨の取り引きで損失が出た場合でも、給与所得や事業所得などと相殺することができません。またその損失は翌年以降に繰り越すこともできません。例えば今年に100万円の損失を出し、翌年に200万円の利益を得た場合、前年の損失を繰り返すことができないので、翌年は200万円に対してそのまま課税されることになります。最後に、仮想通貨による損益は原則、雑所得になるとお話ししましたが、例えば事業所得者が事業用資産としてビットコインを保有し、決済手段として使用している場合、その使用により発生した損益は事業に関連する所得と考えられるため事業所得になります。

【その差3倍以上!平均給与が最も高い業種は】《平成30年2月掲載》

国税庁より昨年の9月に平成28年分の「民間給与実態統計調査」が発表されました。この調査の特徴は、従業員1人から5000人以上の事業所まで広く調査されていることや、給与階級別・性別・年齢階層・勤続年数別による給与所得者の分布が分かることです。また企業規模別に給与の実態が分かることも特徴のひとつといえます。平成28年1年を通じて勤務した給与所得者の人数は4869万人で、前年に比べて75万人増えました。また平均給与は422万円で1.2万円増えています。男女別では、男性が2862万人で521万円、女性が2007万人で280万円になります。前年に比べると、給与所得者数では男性31万人増で女性が44万人増、平均給与では男性0.6万円増で女性が3.7万円増となっています。次に雇用形態別でみてみると正規は487万円、それに対して非正規は172万円になります。事業所の規模別で平均給与を比較すると、事業所規模10~29人では393万円(給与355万円・賞与38万円)に対して、事業所規模5000人以上では509万円(給与398万円・賞与111万円)と、事業所規模による平均給与の差は賞与によるところが大きいことが分かります。業種別の平均給与では「電気・ガス・熱供給・水道業」の769万円が最も高く、最も低い「宿泊業・飲食サービス業」234万円の3倍以上でした。

【事業承継税制が利用しやすくなりました】《平成30年1月掲載》

平成29年度の税制改正で、事業承継税制(非上場株式に関する贈与税・相続税の納税猶予制度)の見直しがありました。今回の改正では「雇用要件の見直し」と「生前贈与の税制優遇強化」がポイントになります。これまで事業承継税制の適用を受けるには、従業員数を5年平均で80%維持する必要がありました。しかし、小規模な企業では従業員が4~5人のところも珍しくありません。例えば4人の従業員が3人になれば75%になってしまいます。昨今の深刻な人手不足の状況下で、特に小規模な企業が従業員数を維持することは大変難しく、事業承継税制の適用は高いハードルでした。そこで今回の改正では、小規模な企業でも事業承継税制を活用しやすくなるように、従業員5人以下の場合は1人減っても適用できるようになりました。また従来は贈与税の納税猶予の適用を受けていても、その猶予期間中に雇用などの要件を満たせなくなると適用は取り消され、高額な贈与税を支払う必要がありましたが、今回の改正で相続時精算課税制度との併用が認められるようになりました。相続時精算課税は贈与額のうち最大2500万円までを控除でき、控除額を超えた場合も超えた金額の20%の贈与税を納めればよいので、贈与税納税猶予が取り消しになった場合の負担が軽減されることになります。

【亡くなった後に遺産相続でもめないために】《平成29年12月掲載》

「私が所有する土地に娘夫婦が家を建てて20年ほどになります。私には娘と息子のの2人の子どもがいるのですが、娘が暮らすその土地は娘に相続をさせたいと考えています。私がなくなった後に遺産相続で子どもたちに争って欲しくないため、今のうちに手を打っておきたいので何か対策を教えてください」というご質問がありました。「わが家に限って」と思いたいところですが、遺産相続でもめるケースは少なくないようです。しかし、もめないためにと何の対策もなく生前に贈与をしてしまうと、多額の贈与税がかかることに・・・。そこで、知っておきたいのが「相続時精算課税」という制度です。この制度は、60歳以上の祖父母・父母から、20歳以上の子・孫に対して財産を贈与した場合、2500万円までであれば贈与財産の種類や金額、回数に関係なく贈与税がかかりません。ただし、相続時にその贈与した財産も他の相続財産に含めて相続税の計算をすることになります。メリットは、事前に財産が移転できるので争族のリスクが減ることや、将来、値上がりするような財産であれば、贈与時の評価で固定されるため相続税の負担を軽減できることでしょう。デメリットは、一度この制度を選択すると暦年控除が使えなくなることや、相続に比べて不動産の登記コストが高くなることなどでしょう。

【次のケースで贈与税がかからない方法とは?】《平成29年11月掲載》

「結婚して30年以上が経ちます。結婚当初に購入した現在の住まいはずいぶん古くなり、あちらこちらで修繕が必要になってきました。そのためこの機会に、建て替えをしようと思っています。資金については私の退職金を利用するつもりですが、建物の所有権登記では妻にも2000万円程度の持分を持たせたいと思っています。

このような状況ですが、贈与税がかからない方法はないものでしょうか?」といったご質問がありました。結論から言いますと、今回のご質問者の場合は「贈与税の配偶者控除」という特例を適用すれば贈与税はかかりません。これは婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、基礎控除110万円のほかに最高2000万円までの控除(配偶者控除)ができるという特例です。ただし、同じ配偶者からの贈与については、一生に一度しか適用を受けることができません。また日本国内にある居住用不動産が対象になるため「海外移住をするため海外での住まい購入の際に利用する」ということもできません。その他には、贈与税はかかりませんが不動産取得税や登録免許税はかかります。また建物の持分により相続時の小規模宅地等の特例や、譲渡時の居住用財産の3000万円特別控除等を利用する際の適用要件に影響しますので注意が必要です。

【新たに購入した設備の固定資産税は半額】《平成29年10月掲載》

「中小企業経営強化税制」は、従来の中小企業投資促進税制の上乗せ措置が改められて独立した制度になったものです。サービス産業はわが国GTPの約7割を占めています。その生産性の向上を図るために、今回は対象設備に工具器具備品(ルームエアコン・冷蔵陳列棚など)や建物附属設備(エレベーター・高圧受電設備など)が加わりました。この制度には、青色申告書を提出する中小企業者等が平成29年4月1日から平成31年3月31日に、中小企業経営強化法の認定を受けた経営力向上計画に基づき、一定の設備を新規取得等して指定事業で利用するなどの条件があります。設備は生産性向上設備(A類型)と収益力強化設備(B類型)の2つがあり、A類型は「生産性が旧モデル比で年平均1%以上向上する設備」とされ機械装置・測定工具および検査工具・器具備品・建物附属設備などが、B類型は「投資収益率が年平均5%以上の投資計画に係る設備」とされ機械装置・工具・器具備品・建物附属設備などが対象です。法人税、所得税の税制措置としては、即時償却(購入事業年度に取得価額の100%償却)または取得価額の10%の税額控除(資本金3000万円超1億円以下の法人は7%)があり、いずれかを選択することができます。また新たに購入した設備にかかる固定資産税は3年間、半額になります。

【研究開発税制を活用して競争力の強化を!】《平成29年9月掲載》

研究開発投資を増やして企業競争力を高めることなどを目的に、研究開発税制が見直しされました。改正前は「総額型」「増加型」「高水準型」「オープンイノベーション型」の4つに分かれていましたが、その中の「増加型」と「高水準型」は平成28年度末までの時限措置でした。改正後は「増加型」が「総額型」に組み込まれ、「高水準型」は適用期限が2年間延長され、「総額型」「高水準型」「オープンイノベーション型」の3つになりました。「総額型」の税額控除率は、試験研究費の増減に応じて6〜14%(中小法人は12〜17%)に拡充されました。控除限度額も一定の要件を満たした場合、従来の法人税額の25%に0〜10%の上乗せが可能になりましたが、高水準型との選択制となります。ただしどちらの上乗せも2年間の時限措置となります(税額控除率については一定率以上)。また「オープンイノベーション型」は手続きの見直しにより使い勝手の向上が図られています。

近年では、IoTやビッグデータ、人口知能などを活用した「第4次産業革命」が進展しています。これらの技術を活用する新たなビジネス開発を後押しするために、これまでの製造業による「モノ作りの研究開発」に加えて、ビッグデータなどを活用した第4次産業革命型の「サービスの開発」が試験研究費の定義に追加されました。

【法人税の実地調査を受ける確率は何%?】《平成29年8月掲載》

税務調査はさまざまありますが、おおよそ「課税処分のための調査」「犯則事件のための調査」の3つに分類できます。「課税処分のための調査」とは、課税処分をするための資料を収集することを目的とした調査です。納税者の申告内容が正しいかどうかを判断するために、帳簿や請求書などの書類をチェックします。これは、国税通則法に規定されている質問検査権に基づく調査になります。「滞納処分のための調査」とは、滞納になっている税金がある場合、滞納処分手続きをするにあたり滞納者の財産の有無・所在・種類・数量・価額・利用状況・第三者の権利の有無などを明らかにする調査です。これは国税徴収法による調査となります。「犯則事件のための調査」は、査察調査のことを指します。不正の手段を使い故意に税を免れた場合には、正当な税を課すほかに刑罰を科すことが税法に定められています。この調査は、裁判官の許可を得ているので任意調査ではなく強制捜査になり、実質的には刑事手続きと同じように進められます。国税庁の発表によると法人税の実地調査件数は、平成24事務年度9.3万件、平成25事務年度9.1万件、平成26事務年度9.5万件となっています。日本の法人数が約260万社ですから、実地調査は3.5%前後の割合で行われていることになります。

【株の配当金や譲渡益の税金はどうなるの?】《平成29年7月掲載》

個人が上場株式などを保有・譲渡した場合のお話です。株式などを保有して配当金が、または譲渡をして譲渡益があった場合などには税金がかかります。株式取引をする口座には「一般口座」や「特定口座」などがあり、一般口座は自分で年間の譲渡損益を計算して確定申告を行います。特定口座には「源泉徴収口座」と「簡易申告口座」があり、源泉徴収口座では金融商品取引業者等(証券会社など)が年間の譲渡損益等を計算して源泉徴収税率は、所得税・復興特別所得税15.315%に住民税5%の合計20.315%となります。簡易申告口座は、金融商品取引業者等が年間の譲渡損益を計算してくれますが、確定申告は自分で行います。譲渡した株に損失が生じた場合は確定申告をすることにより、3年間損失を繰り越せて翌年以降の譲渡益と損益通算することが可能です。平成26年よりNISA(少額投資非課税制度)がスタートしており、現在では年間120万円(最大非課税投資総額120万円×5年間)を上限として非課税投資枠が設定されています。この非課税口座(NISA口座)を利用すると、上場株式などの配当金や譲渡益が非課税になります。なお、平成28年4月からは20歳未満を対象としたジュニアNISA制度(年間上限額80万円)もスタートしています。

【配偶者控除が拡大されます!】《平成29年6月掲載》

平成30年分から「配偶者控除」と「配偶者特別控除」が改正されます。現状では配偶者の給与収入が103万円以下であれば、38万円の所得控除が受けられます。また103万円を超えた場合でも要件を満たせば、141万円未満まで所得に応じた配偶者特別控除が受けられます。改正後のプラス面は、配偶者控除が適用される配偶者の給与収入が103万円以下から150万円以下になることでしょう。これにより、いわゆる「103万円の壁」が遠のきます。控除を受けるために働く時間を抑制していた人は、これまでよりもっと多く働くことができるようになります。また配偶者特別控除の上限についても、配偶者の給与収入の141万円未満が201万円以下になります。特別控除額は150万円を超えると徐々に減額され、201万円を超えるとゼロになります。マイナス面は、納税者本人の合計所得が1000万円を超えると配偶者控除がゼロとなり増税になる点でしょう。また合計所得が900万円超950万円までは26万円に、950万円超1000万円までは13万円に減額されます。現状では、多くの企業で配偶者手当の支給基準が103万円であることや、社会保険の被扶養者基準が130万円であることも、働き方を決めるうえで考慮する必要がありそうです。ちなみに、配偶者に給与以外の収入がある場合は、それらを合算して判断するため注意が必要です。

【市販薬の購入で所得控除が受けられます】《平成29年5月掲載》

2017年1月より始まったセルフメディケーション税制は、国民の自発的な健康管理や疾病予防の取り組みを促進することを目的としています。その結果、国の財政を圧迫している医療費の適正化にもつなげたい考えです。この制度利用にあたっては、健康の維持増進および疾病の予防として、健康診断や予防接種、がん検診を受けていることなどの条件があります。セルフメディケーション税制は、本人または生計を同じくする家族が購入したスイッチOTC医薬品の額が1年間で12000円を超えると、その超えた額(上限額88000円)をその年分の総所得金額等から控除することができます。一方、従来からある医療費控除は、本人または生計を同じくする家族が対象で、自己負担した医療費等が1年間で10万円を超えると、その超えた額を控除することができます。ただし、セルフメディケーション税制と従来からある医療費控除制度の併用はできないため選択が必要になります。なお、スイッチOTC医薬品とは、要指導医薬品および一般用医薬品のうち、医療用から転用された医薬品のことをいい、処方箋なしで買える市販薬です。

2017年分の確定申告からは、自己負担した医療費等が10万円を超えていないかだけでなく、スイッチOTC医薬品の購入額が12000円を超えていないかについても確認してみましょう。

【相続税は一部の富裕層だけのもの?】《平成29年4月掲載》

平成25年度の税制改正により、平成27年以後に亡くなられた人から相続税の基礎控除額が引き下げられました。これにより相続税の課税対象となった被相続人の割合が、前年の平成26年分に比べて3.6%増加したということが国税庁の平成28年12月の発表で分かりました。発表によると平成27年中(平成27年1月1日〜平成27年12月31日)に亡くなられた人は全国で約129万人(平成26年は約127.3万人)でした。このうち相続税の課税対象となった被相続人は約10.3万人(平成26年は約5.6万人)で、課税割合は8%(平成26年は4.4%)と前年に比べて2倍近くも増加しました。近年の相続税の課税割合は4%程度を推移していましたので、今回の基礎控除額の引き下げによって大幅に増えたことが分かります。相続税の課税価格の合計は約14.6兆円で、被相続人1人当たりにすると約1.4億円となっています。またこれによる相続税の納税額は約1.8兆円で、1人当たりでは1758万円になります。相続財産の金額の構成比は土地が1番多く38%で、その他は現金・預金等が30.7%、有価証券14.9%、家屋5.3%、その他11%となっています。平成25年度の税制改正によって課税の対象となる人が増えた現在では、「相続税は一部の富裕層だけのもの」という考えは見直す必要がありそうです。

【三世代同居に対応した住宅リフォームの特例】《平成29年3月号掲載》

自宅リフォーム工事を考えているという方から、三世代同居に対応した住宅リフォームの特例についてご相談がありました。これは、世代間の助け合いによって子育てしやすい環境を作ることが目的で、三世代同居に対応したリフォーム工事を行う場合に税制上の特例措置を受けることができるという制度です。適用期限は平成28年4月1日から平成31年6月30日までで、キッチン・浴室・トイレ・玄関の増設工事で50万円を超えるなど一定の要件を満たすと所得税額控除を受けることができます。工事資金が借り入れでなくても適用されます。具体的には借り入れで工事を行った場合には、工事目的の借入金等の種類の年末残高に応じて、1000万円以下の部下について一定の割合(三世代対応部分は借入残高250万円が限度で2%、それ以外の部分は借入残高750万円が限度で1%)を乗じた金額が所得税額から控除されます。適用期間は5年間で最大62.5万円の控除が受けられます。借り入れ無しで工事を行った場合には、標準的な工事費用(250万円が限度)の10%である25万円を限度として、改修を行った年の所得税額から控除することができます。ただし、その年分の合計所得金額が3000万円を超える場合や、他の住宅ローン控除と重複しての適用はできませんのでご注意ください。

【ゴルファー保険の保険金は課税される?】《平成29年2月号掲載》

あるデータによるとプロゴルファーがホールインワンを出す確率は約3700回に1回だとか。ですからアマチュアにとってホールインワンは、夢のような話です。多くのゴルファー保険では、こうしたホールインワンやアルバトロスを達成した場合に行う祝賀会などにおいて、契約者が負担した費用が保険金の支払い対象になっています。またゴルフ場やゴルフ練習場などにおいて、競技や練習中などに偶然の事故によって他人にけがをさせたり、他人の財物を損壊した場合、さらに自分自身がけがをしたときやゴルフ用品の盗難、ゴルフクラブの破損などにおいても保険金の支払い対象になります。では、保険金を受け取った際の税金の取り扱いはどうなるのでしょうか。ゴルフ場で競技中に他人にけがをさせてしまい、その損害賠償に充てるために契約者が受け取った保険金やゴルフ用品の盗難、ゴルフクラブの破損などに対して支払われる保険金については課税されません。ただし、ホールインワンなどを達成したことにより受け取る保険金については、一時所得となり課税の対象になります。この場合、受け取った保険金から支払った保険料は経費として控除できますが、祝賀会などの費用は控除できません。もちろん個人事業主が支払ったゴルファー保険の保険料は必要経費とはなりません。

【災害などで損害を受けた場合には】《平成29年1月号掲載》

災害や盗難、横領により資産に損害を受けた場合などに、その損失の一部を所得から差し引くことができる制度があります。これを「雑損控除」といいます。控除の対象となる損害は「震災・風水害・冷害・雪害・落雷など自然現象の異変による災害」「火災・火薬類の爆発など人為による異常な災害」「害虫などの生物による異常な災害」「盗難」「横領」のいずれかの場合に限られ、詐欺や恐喝の場合は対象になりません。控除額については「差引損失額ー総所得金額等×10%」「差引損失額のうち災害関連支出の金額ー5万円」のいずれか多い方の金額を控除

【海外勤務が1年以上になる場合には】《平成28年12月掲載》

近年は経済のグローバル化が進み、海外支店に勤務する人なども増えてきました。日本国内の会社に勤めている給与所得者が、1年以上の予定で海外の支店などに勤務する場合は、一般的には「日本国内に住所を有しない者」と判断されて所得税法上の「非居住者」となります。この非居住者が日本国内において、不動産賃貸収入や資産の譲渡による所得など、一定の所得がある場合には日本で確定申告が必要となります。このような場合にその非居住者に代わって、申告書や届出書の提出、税務署から届く書類や国税の納付・還付などの受領を行う人を「納税管理人」といいます。納税管理人になれるのは、国内に住所または居所を有する人で、個人でも法人でも構いませんし資格なども不要です。ですから一般的には家族や親族、または税理士や弁護士などの専門家に依頼することが多いようです。ただし、資格がない家族が納税管理人になった場合には、税理士法に定められた税理士独占業務以外の代行業務しか行うことができないので注意が必要です。税理士独占業務には「税務申告書の作成」や「届出書の作成」などがあります。最後に非居住者である本人が納税義務を履行しない場合についてですが、納税義務は本人にあるため納税管理人が財産を差し押さえられるなど、連帯納付義務を負うことはありません。

【処分に不服がある場合には?】《平成28年11月掲載》

国税の税務調査などで申告漏れなどの指摘をされた企業や個人は、処分に不服があれば処分の通知を受けた日の翌日から3カ月以内に(1)「税務署長等に対する再調査の請求」か(2)「国税不服審判所長に対する審査請求」のいずれかを行うことができます。また(1)により決定した処分になお不服がある場合には、決定の通知を受けた日の翌日から1カ月以内であれば(2)を行うこともできます。さらに(2)によって裁決された処分に不服がある場合には、その裁決があったことを知った日の翌日から6カ月以内に、裁判所に「訴訟」を提起することができます。このように税務署長等が行った処分に不服がある場合には、(1)や(2)を経るなどして最終的に訴訟となります。近年の訴訟では、東京国税局から約3995億円の申告漏れを指摘された日本IBMの持ち株会社が、国に約1200億円の課税処分取り消しを求めた訴訟がありました。この訴訟は今年2月にIBM側の主張が認められて課税処分が取り消しになりました。国税庁の発表によると処分を不服として裁判で争う件数は平成24年度340件、平成25年度290件、平成26年度237件と年々減っているようで、平成27年度は231件と平成16年度552件の半分以下でした。減少の背景には、税務調査のルールが明確になったことなどがあるようです。

【平成29年1月から全ての人が加入可能に】《平成28年10月掲載》

公的年金に上乗せして給付を受ける私的年金のひとつに「確定拠出年金」があります。掛金を定めて事業主や加入者が拠出し、運用は加入者自ら行います。将来の給付額は掛金とその運用益との合計額によって決まるというのが、確定拠出年金の仕組みになります。これには事業主が実施する「企業型」と個人で加入する「個人型」があり、個人型は平成29年1月から加入者の範囲が拡大され、基本的には全て人が加入できるようになります。また個人型の税制優遇措置には次のようなものがあります。まずひとつが「掛金が全額所得控除」になります。例えば毎月の掛金が2万円で税率が20%だとすると節税効果は年間48000円、25年間で総額120万円になります。次に「運用益も非課税で再投資」されます。通常、金融商品の運用益には源泉分離課税がかかりますが、個人型の運用益は非課税になります。そしてもうひとつは「受け取るときの優遇措置」です。老齢給付金を一時金として受け取る場合は「退職所得控除」、年金として受け取る場合は「公的年金等控除」という控除が受けられます。注意点としては「自分で運用」する自己責任型の制度であることや、中途での引出しに制限があり原則60歳まで引き出すことができないこと、加入時の手数料や毎月の口座管理費が必要になることなどが挙げられます。

下村典正税理士事務所は
TKC全国会会員です
TKC全国会
TKC全国会は、租税正義の実現をめざし関与先企業の永続的繁栄に奉仕するわが国最大級の職業会計人集団です。

東京税理士会所属

お気軽にお問合せください。
下村典正税理士事務所(下村税務会計事務所)
TEL:03-6807-6933
n.shimo@tkcnf.or.jp